香港で運営される世界最大級のデータセンターや日米間を業界最速で結ぶ海底ケーブルから、スマートフォン向け無料通話アプリ、新しいSNSサービス、格安データ定額SIMまで、NTTコミュニケーションズの事業領域の振れ幅は広い。2013年10月24日・25日と二日間にわたって都内で開催された「NTTコミュニケーションズ フォーラム 2013」。展示会場を歩くと、海底ケーブルの実物の展示の数歩先に無料通話アプリ「050 plus」の展示があり、同社のサービスラインの多様さが実感できる。

グーグルしかりアマゾンしかり、ITがクラウドを通じてサービスとして提供される時代になっていくにつれ、こうした多様なサービスの展開力は、すぐれてクラウド基盤の構築力が握る競争となっている。NTTコミュニケーションズは、グローバル規模でトップクラスのクラウド・プロバイダーとなるべく、積極果敢な投資を続けている。

フォーラムでの講演内容から、同社のクラウド戦略の焦点と、ユーザー企業が検討すべきポイントを紹介したい。なお、フォーラム閉幕後となったが、米国の大手データセンター事業者とネットワーク事業者、2社で総額約900億円となる買収が発表された。これにより、米国でのデータセンター面積は倍増し、グローバルネットワークも160から196ヵ国/地域に広がる。同社のクラウド戦略に加速がかかってきたようだ。

グローバルなキャリアクラウドで経営革新をサポート
――NTTコミュニケーションズ有馬彰社長

NTTコミュニケーションズ
有馬彰社長

 基調講演では、「NTTコミュニケーションズのグローバルクラウドビジョン2013~これまでの取り組みと今後の展開~」と題して、有馬彰社長がクラウド事業の全体像について解説した。

 まず日米のクラウド利用状況として、統計資料を用いて日本の遅れを指摘したうえで、「今後、日本ではクラウドの導入がさらに進む。クラウド化の対象システムは、ウェブサイトやメールといった“ノンコア”から、会計、財務、サプライチェーンなどの“コア”へと拡大するだろう」との見解を述べた。

 また、顧客のクラウド利用目的について、「従来はITコスト削減やシステム効率化のためだったが、最近では新事業拡大やグローバル展開の加速化、BCP(事業継続性)強化といったより積極的な目的で導入する例が増えている」と語った。

 こうしたクラウド化の流れのなかで同社が推進する戦略「グローバルクラウドビジョン」は、「通信事業者ならではのクラウドの展開」「グローバルでのサービス提供力の強化」「ネットワーク仮想化技術の活用」の3つをポイントにあげている。

「通信事業者ならではのクラウドの展開」としては、「さまざまな事業者がクラウドを提供するなか、通信事業者としては、グローバルネットワークと直結した高品質かつ高信頼なクラウドサービスが強み」とその優位性をアピール。

(出典)講演資料より

「グローバルでのサービス提供力の強化」については、同社の海外拠点として、世界38ヵ国/地域・100都市にオフィスがあり、ネットワークサービスは世界160ヵ国/地域に提供、日・米・アジア間を業界最低遅延で接続する海底ケーブル、計画・建設中も含め150拠点・20万平米におよぶデータセンターを有し、10ヵ国/地域・12拠点でクラウドサービスを提供中であると、サービス提供基盤の充実ぶりを披露した。
*サーバールーム面積