年末年始の海外旅行需要が好調に推移している。カレンダーの日並びが良いことに加え、個人消費の持ち直し傾向が見られるためでもある。

 好調といわれる海外旅行だが、大手旅行代理店では奇妙な現象が起きていた。あれほど人気だった中国旅行のパンフレットが、店頭から忽然と姿を消していたのである。

 12月のある日、都内の某大手旅行代理店店舗に立ち寄った。所狭しと陳列される旅行パンフレットはおなじみの光景だが、どこを探しても中国が見当たらない。代理店職員に尋ねてみると、「中国旅行はすっかり需要がなくなってしまったんですよ」と言う。

 近年、日本からの出国者数は増加を続け、2012年は約1850万人が渡航した(日本旅行業協会)。そのなかでも渡航先のトップは中国で、351万人が訪れた。2位の韓国、3位のアメリカを大きく引き離す、そんな“断トツの中国”が、今年、旅行市場から“退場”したのである。

中国国家旅行局のデータより筆者作成

 日本人が中国観光を遠ざける傾向は、中国側の統計数字にも表れている。中国国家観光局の発表によれば、2013年9月に観光やビジネスなどの目的で中国を訪問した日本人旅行客は、前年同月比7.29%減 の23万4200万人で、15ヵ月連続でマイナスとなった。

 過去を振り返ると、日本からの訪中客数は、2012年8月までは月間30万人台を維持してきた。ところが、あの反日デモを境にして、同年9月以降は月間20万人台に激減した。また、年間で見ても年々減少の一途だ。上海万博があった2010年には日本から373万人が中国を訪れたが、11年には366万人(前年比1.8%減)、12年には352万人(前年比3.8%減、10年比で5.6%減)となった。09年までは、訪中客の多さは日本が圧倒的だったが、それ以降は韓国に取って代わり、日本からの中国訪問の積極さは、徐々に弱まる傾向にある。実際、筆者も日中を往復するフライトで、今年は日本人観光客を見ることはほとんどなくなった。

 中国渡航者が減少した原因は、言わずと知れた尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化であろうが、大気汚染や食品安全など健康被害の懸念も、日本人観光客の敬遠を招いている。