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スマートフォンの理想と現実

ソニーXperia Z躍進からウィルコム消滅まで
スマートフォンをめぐる2013年の出来事を振り返る

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第57回】 2013年12月26日
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12月:ウィルコム消滅

【概要】
 ソフトバンク傘下のイー・アクセスとウィルコムは、12月3日に合併に関して合意したことを明らかにした。合併は2014年4月1日を予定しており、存続会社はイー・アクセスとなる。経営体制や社名、ブランドなどは検討中とされているが、ウィルコムサイドからはPHS事業の継続が宣言されている。

イー・アクセスとウィルコムが合併に関する基本合意書を締結 - ワイヤレスワイヤーニュース

ウィルコム、合併後のPHSサービス継続を改めて告知 - ワイヤレスワイヤーニュース

【解説】
 最後に取り上げたのは、PHS事業者であるウィルコムの事業体消滅である。もちろん前述の通り、法人統合の都合による消滅であり、PHS事業そのものの継続はすでに発表されている。しかし、かつてしのぎを削ったイー・アクセスとの統合であり、また両者とも競い合ったソフトバンクによって、両者が整理される。諸行無常という言葉だけでは片付けられない思いを抱くのは、私だけではないはずだ。

 このニュースも、いろいろな見方ができる。国産インフラ規格や関連する技術の衰退、周波数の割当を巡る攻防がもたらした競争環境の変化、モバイルを巡る競争激化によるチキンレースの行く末、あるいは人口減少がはじまった日本市場の将来的な縮小を先取りした動きとしての統合、等々。

 まだ私自身も認識を十分整理できているわけではないが、現時点で言えるのは、多くの事業者にとって「明日は我が身」だということだろう。未来永劫の成長が約束された産業は存在しないし、何らかの要因で必ず産業は衰退する。その時に新しいチャレンジができるのか、転身は可能なのか、不可能だとして生存できるのか、何をもって生存と見なすのか。そうした問いかけを、モバイル産業のみならず広く日本全体の産業社会に、投げかけているように思えてならない。

 さて、これにて年内の連載更新は終了となる。繁忙のあまり、春先の連載中断や更新スケジュールにズレが生じたことをお詫びしたい。そして来年は、さらに忙しくなりそうな気配ではあるのだが、引き続きご愛顧いただければ誠に幸いである。

 早くも1月上旬にはラスベガスでCES2014が開催される。来年は1月15日(水)、この報告から再開したい。どうぞ皆様、良いお年を。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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