Photo by Shinichi Yokoyama
世界四大会計事務所(ビッグ4)の一角を成すアーンスト&ヤング(EY)は、これまでの“多様性”に加えて、“包括性”までを含むリーダーシップの重要性を強調している。なぜ、そのような方向性が必要なのか。米国を代表する女性エグゼクティブの一人で、52年間の沈黙を破って自ら同性愛者であることを明かしたベス・ブルック副会長に話を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部・池冨 仁)
同性愛者の許容は
多くの分野で進む
――2013年7月、ローマ教皇のフランシスコ一世が同性愛者に対して一定の理解を示したことが話題になりました。カトリックでは同性愛はタブー視されてきましたが、教皇は、「善良な同性愛者が神を求めるなら、私は(同性愛の是非を)判断する立場にない」として、「同性愛者を社会の隅に追いやるのではなく、社会に溶け込ませる必要がある」と言及しています。
ローマ教皇の発言は“社会の許容度が上がる”という意味で、米国ではティッピング・ポイントになると思います。ティッピング・ポイントとは、あることを契機にして、アイデアや流行などが“閾値”を超えて一気に広がる始める劇的な瞬間を指します。教皇の発言によって、大きな“うねり”が生まれたといえます。
ただし、グローバルでのインパクトはどうかといえば、まだまだ解決すべき課題がたくさんあると考えています。宗教界の権威であるローマ教皇が理解を示してくれたことは、実に大きな変化です。これで、社会の許容度は上がっていくでしょうが、企業に限らず、社会全体で多様性(ダイバーシティ)と包括性(インクルーシブネス)を備えたリーダーを育成していく必要があります。