以上の指摘や2回会合での報告(当連載の第9回を参照)から、作業チーム1は、背景と原因を以下の4点にまとめた。

1. 役割分担の不徹底

 職員の行動規範となるべき地域防災計画や初動対応マニュアルがなかった。職員一人ひとりが実践的な訓練ができていなかった可能性が高い。

2. 災害経験の逆機能

「津波は三陸地方のことで名取には大きな津波は来ない」と思われていた。2010年2月のチリ地震の津波が空振りに終わったことが「経験の逆機能」を強化した。

3. 正常化の偏見(正常化バイアス)

 市職員の間にも大規模津波の発生を否定するような災害文化が生まれていた。6メートルという津波予想高さの被害についてほとんどイメージできていなかったため迅速・的確な対応ができなかった。

4. モニタリング情報収集の不備

 地域防災計画には、避難誘導者の退避の途中経過や状況把握や避難勧告や指示の伝達確認といった状況モニタリングの項目がなく、計画に弱点があった。

避難行動の検証
聴き取り調査でわかった4点

 続いて、多数の犠牲者が出た閖上公民館から閖上中学校の避難誘導や移動の実態について調査している作業チーム2が報告した。

 災害情報を専門とする中森広道委員・作業チーム2の主査(日本大学文理学部社会学科教授)はまず、検証ヒアリングの方法や様子について、写真や図を使って説明をした。

 ヒアリングの場所は公共施設の会議室等。個別面談の形式で行われ、1人から2人の委員が、あらかじめ決められた項目に加え、ポイントとなりそうなことを質問する。事務局も立ち会うが、圧迫感のないように同席者数が極力少なくなるよう工夫しているという。

 3者が囲むテーブルには、行動や経路、時間などが記入できるよう震災前の住宅地図とペンに加え、録音機が載っている。実際には、自ら資料を持参した住民もいたようだ。