新年に入って早々、1月7日国家戦略特区諮問会議の第1回会合が開催されました。昨年末の臨時国会で国家戦略特区の法案が成立したばかりであることを考えると、非常に良いスピード感で開催されたと言えますが、そこでの資料などを見て改めて感じるのは、国家戦略特区がアベノミクスの命運を握っているということです。
スピード感あるスタートに期待
もちろん日本が着実に15年続いたデフレと低成長から脱却しようとしているのは、アベノミクスの成果に他なりません。しかしそれは、現段階で、アベノミクスの3本の矢のうち金融緩和と財政出動という短期的対応の効果が出ているに過ぎません。
一方、中長期的にもデフレと低成長からの脱却を確かなものとするためには、3本目の矢である成長戦略が重要ですが、現段階では期待薄と言わざるを得ないでしょう。
その理由は、昨年策定された成長戦略の内容が、規制改革などの構造改革路線よりも政府の関与を増大させる産業政策路線がメインだからです。それでは民間の企業や産業の体質強化は難しいと言わざるを得ません。だからこそ、外国のメディアや外国人投資家のアベノミクスを見る目も、昨年秋以降は厳しくなっているのです。
そう考えると、今年は成長戦略がどう正しい方向に進化するかが問われる年になると思いますが、その面で希望が持てるのは国家戦略特区です。
国家戦略特区は、安倍政権の構造改革を進めるツールとして規制改革会議と並んで重要です。そして、規制改革会議が担当大臣と民間人議長の双方のやる気の欠如によって機能不全に陥るなかで、国家戦略特区は非常に良いスタートを切ったと言えます。
そもそも国家戦略特区に関する法案が国会で成立したのは昨年12月です。それなのに、法律で定められた国家戦略特区諮問会議のメンバーが昨年末に決まり、今年に入って早々の1月7日に第1回諮問会議が開催されたというのは、構造改革については官僚任せになりつつある安倍政権ではかなり速いスピード感だと思います。