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世界中の犯罪者たちが“分業体制”で
顧客の重要個人情報を盗み出す

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第279回】 2014年1月22日
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偽カードは堂々と使えばバレない?

 偽カードができると、それで商品を買う。自分で行かない場合は、代わりの人間に物理的な店舗へ買物に行ってもらう必要がある。実は、そうしたショッパーをリクルートするのを職業とする人々もいるという。

 もし、ブランド品を買うのならば、ショッパーたちはファッショナブルな若い女性だったりするそうだ。ショッパーはオドオドとしていてはならず、正当なショッピング客であることが感じられるよう、店員の目をまっすぐに直視できる度胸が必要である。

 今回のターゲットでの事件では、情報が盗まれたのは同社が発行しているカード。つまり、ターゲット店内でしか使えないカードだ。したがって、こうした犯罪ネットワークに関わったショッパーたちは、アメリカ国内だけでも約1800店舗あるターゲットストアに舞い戻って買物をしたわけだ。カードが使えるのは1回だけという。

 また、ブラックマーケットで売られるカード情報には、元々の持ち主が登録した郵便番号が併記されている。偽カードでのショッピングはできるだけその住所に近い店で行うことによって、カード会社から怪しまれるリスクを下げられるという。

 買った商品を今度は売る。犯罪者の目的は買物をすることではなく、現金を手に入れることだ。幸い、商品を換金する手段はオンラインのセカンド商品マーケットや質屋などいろいろあるだろう。オークションサイトのイーベイなどで、「まったくの新品!」などとして売られているブランド品のバッグの中には、この手の犯罪ネットワークで換金されようとしている商品が含まれているかもしれない。

被害者に返金されても
最終的には消費者の負担増に

 今回の漏洩事件では多数のカード情報が被害にあったのだが、それらが一気にブラックマーケットに出てくることはないという。このマーケットでも需要と供給によって値段が決まっており、あまり多量に流通させると価格が下がる。徐々に出てくるだろうというわけだ。

 今回の漏洩事件を最初に報じたセキュリティー専門家のブライアン・クレーブズ氏は、「カード情報を盗まれた買物客は被害額を返金してもらえるだろうが、「結局は被害が商品の料金に上乗せされて、消費者が負担することになる」と語っている。

 セキュリティー技術とハッカーたちの技はイタチゴッゴの競争だ。自己防衛しつつ、こうした漏洩事件は、すでにインターネット時代の常と覚悟することが必要なのかもしれない。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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