どのようにして、営業を成功させたのか?
それは、この本のタイトルを地で行なったからである

 一つお断りをしておきたいと思う。レターマンは保険の代理店を運営していたが、保険の営業だけで成功を収めたわけではない。羊毛の販売で生計を立てていた青年時代があり、マカデミアナッツをアメリカで大流行させた第一人者でもある。商品を問わず、基礎となる営業術を身につければ、顧客が異なっても、結果は出せるのである。

 そのレターマンの営業術の基礎を垣間見れる記述を紹介したい。

 ほんとうの意味の営業の仕事とは、顧客(厳密にいえば見込客)が「ノー」といった時に初めて始まるのである。まさにそのとおりにちがいない。したがって、私はこの言葉をもって、この本の題名としたのである。もちろん、最後には見込客が「イエス」という承諾を表す返事をする時がこなければならない。しかし、「ノー」といわれたからといって、それで万事終わってしまったとすぐに思い込むほど、セールスマンにとって致命的な考え方はない。万事終わるどころか、たちまち営業力が発揮できる新しい局面が開けるものなのである。だが、私にはこの点について多くのセールスマンは十分注意を払っていないように思われる。(197Pより抜粋)

 ここで、一つクイズを出してみたいと思う。以下、本よりあるエピソードを紹介したい。

1.私がまだ20歳くらいの若輩であった当時、ロードアイランド州のある小さな町へ、初めて出張を命じられたことがあった。そこには私が担当することになった会社の見込客がいたわけである。そこへ行くには、プロビデンスで列車を乗り換える必要があった。私は万一、先方を訪れて、主人が留守であっては困ると思い、乗り換える前に、先に電話をかけて都合を聞くことにした。

2.まずこちらの自己紹介を終わったか終わらないうちに『あなたの店の商品はなにもいりません』という、まことにそっけない挨拶があったかと思うと、ガチャンと電話が切られてしまった。これではいけないと思った私はすぐに列車に飛び乗り、大いそぎでその工場を訪ねたところ、ちょうどそこの主人がプロビデンスに向かって、いままさに車で出発しようとしているところだった。

3.再び私が自己紹介をすると、彼は木で鼻をくくったような調子で、『あなたの店の商品はなんにもいりませんと電話でお断りしたじゃありませんか。なぜわざわざ訪ねてきたのですか』といった。そこで私はこれが私にとって初めての出張命令であったこと、注文の有無にかかわらず、とにかく一度お目にかからねば職責が果たされないことを述べた。すると多少態度をやわらげて、『とりあえずこの車にすぐお乗りなさい。プロビデンスに送ってあげますから』といってくれた。なにぶんこれはだいぶ昔の話で、車も今日のように普及していなかった時代である。

4.プロビデンスに向かう車中で彼の態度はだいぶ軟化し始め、私の販売上の希望などについても、いろいろとたずねだした。そこで好機到来とみてとった私は、会社からとくに彼の工場を訪問するよう命令を受けて出張してきたことを説明し、これが私の初めての出張販売であること、したがって話の内容だけでも聞いてもらいたいという意味のことを熱心に説いた。

5.すると彼は話をのみ込んで、買い値を出してくれたが、この買い値は私が会社から承認をもらっていた値段より多少下回る値段であった。なにぶん私にはその買い値では契約をまとめる権限がなかったので、さっそく本社と連絡をとり、その翌日に電報で返事をする旨を伝えた。この注文は相当まとまった額であったし、その日のうちにニューヨークへ帰って本社と相談するのはむずかしかったからである。さて、翌日に、私は本社が受諾した旨をこの顧客に電報することができた。私は現在の会社に長年勤めてきたが、これが私の営業生活のスタートだった。(125P~から抜粋)

 これは、大企業社長の実話である。さて、ここからは著者のレターマンからの出題だ。

「では、いったい、この営業はいつ始まったのであろうか?」

1~5より、選んでいただきたい。