「最後のジャッジ」で評価が低い人は
在籍期間も短くなる

 内定を出した後、企業がそれを引っくり返すことはできませんが、経営者やまともな人事担当者は決断場面の振る舞いでその人を値踏みし、最後のジャッジをしています。

「気持ちよく入社してくれた! 俺の見立ては間違っていなかった」

「あれ、この人は意外と決断力がないな。今回は俺の負けか……」

 こうした評価が書類に残されることはありませんが、経営者や人事の頭には確実にインプットされ、入社後の評価にも紐づけられていきます。そのため、最後のジャッジの評価が低い人の在籍年数は短くなるパターンが多い。

 ある企業で「この仕事をやるのが夢なんです。御社以外は受けていません」と強く入社志望をアピールしてきた候補者がいました。それを見込んだこの会社の社長は内定を出し、比較的良い条件を提示しました。そのときは即座に「ありがとうございます。入社します」と言ってくれると確信していたそうです。

 ところが候補者の返事は想定外の「1週間、返事を待っていただけますか」でした。「どうしてですか。他社は受けていないと言っていましたよね」と社長が尋ねると、「いや、それが急に別の会社も受けることになりまして……」とのこと。内定を取り消すことはできませんが、こうなると採用側としてはかなりの興ざめです。

 候補者からは約束である1週間後のギリギリのタイミングで内定を受ける連絡があり、この会社に入社することになりました。しかし、入社後の仕事ぶりはいま一つで期待値に達しませんでした。そうなるとますます経営者や人事からの評価も下がり、結局、この人は1年も持たずに退職することになりました。決断時の残念な印象がちょっとの期待はずれな評価を助長した可能性は十分にあります。

 他社を受けていることはなんら問題はありません。ただ、第一希望でもないのに(まだ確信がもてないのに)それを口にしたり、そのようなニュアンスを伝えて相手に過剰な期待感も持たせることが問題なのです。

 また受けたときには第一希望でも、他に意中の会社が出てくることもあります。そんな時でも最終場面ではそのことをちゃんと伝え、できればどのようなポイントで決断するつもりなのか、どんな要素でまよっているのかをはっきり伝えたり、質問をするべきでしょう。要は駆け引きなしの正直ベースがベストということなのです。ビジネスも同じですよね。