当事者もそれ以外の人も対等に対話
専門家のいらない新しい支援のかたち

 そんな人と人とのつながりによる化学反応は、すでに筆者の周囲でも起こっている。

 約1年半前から始まった『ひきこもり問題フューチャーセッション「庵」』(下記告知参照=庵FS)は、来月2日ですでに9回目を迎える。

 これまで2ヵ月に1回、偶数月の第1日曜日に開催。当事者や経験者も含めて、毎回、50人~60人が参加している。その大半は、ネットの告知を見て集まった初顔合わせの人たちだ。

 ふだんは「外に出る理由がないので」家にいるものの、同セッションの開催日になると、交通費をかけて地方から駆けつけてくれるという当事者もいる。

 庵FSを一言で言うと、未来との対話だ。当事者を含めた多様な人たちが対等な立場で参加し、未来志向の対話をしながらイノベーションを起こす新しい仕組みである。

 庵FSのファシリテーターをボランティアで務める、会社員のTさんは言う。

「ひとりでできることは限られている。だからたくさんの人がつながって、できる人たちの場をつくりたい。ただ、絆だけではなく、面でつなげていかないと、たくさんの人を救うこと、元気づけることにはならない。とくに親の世代に来てほしい。孤立していた人たちがつながって、心のセーフティーネットをつくることで、未来をポジティブに変えていきたいのです」

 引きこもり当事者たちに向き合うファシリテーターは、素人でもいい。庵FSの運営スタッフも務める引きこもり当事者は、こう話す。

「引きこもりに、支援者や専門家は要らない。なぜならファシリテーターは、当事者から教えてもらえばいいんです。僕たち当事者からしてみれば、助けてもらったと思えたら、結果的にその方が支援者です」