支援者中心のイベントから
当事者と経験者が積極的に発言する場に

 少しずつ何かが変わり始めているような、そんな空気を感じている。

 最初は、カタチにこだわっていたものでも、細々と継続していくことによって、参加者たちの思いを投影しながら、自然な居心地のいい中味へと進化していくものなのだろうか。

 多様な人たちが対等な立場で「引きこもり問題」に向き合い、対話を通して新たな未来の仕組みを創り出そうという場である『ひきこもりフューチャーセッション「庵 -IORI-」』も、偶数月の第一日曜日に開催してきて、まもなく1年半を迎える。

 2月2日(日)、都内の目黒区中根住区センターで行われた9回目となる庵セッションには、約70人が参加。その中には、「勇気を出して、初めて来てみました」という引きこもる当事者や、いまは働いているものの「気持ちは引きこもる人たちとほとんど変わらない」「ずっと孤立している」といった「当事者性がある」と自覚する人たちの姿も目立った。

 今回が2回目の参加だという経験者は、「夏頃、庵に来たときは、支援者っぽい人が多くいて、名刺交換会みたいで違和感があったけど、今日来てみたら、当事者率が高くて、参加者の層が変わっていた」と驚いていた。

 いわれてみると、この日の参加者は、当事者と思われる人たちが多くを占めているようだった。逆に、一般の「引きこもり」系イベントでは圧倒的に数の多い親御さんは、庵では少数派のため、隅っこのほうで遠慮しがちに当事者や経験者たちの話し合いに耳を傾けていた。