ソチ五輪のスキー・ジャンプ競技、男子ラージヒルで五輪出場7回目、41歳の葛西紀明選手が銀メダルを獲得した。葛西選手の偉業に対しては、「国民栄誉賞」を授与すべきではないだろうか。葛西選手が中高年に希望を与えたというだけではない。それならば、サッカーの三浦知良選手や、野球の工藤公康氏、山本昌選手だっている。葛西選手が栄誉賞にふさわしい理由は、彼が「欧州で最もよく知られたアスリートであり、欧州で最も尊敬される日本人の一人」であるからだ。
冬季五輪の競技は、日本ではマイナー扱いされがちだが、欧州では歴史もあり、人気のあるメジャー競技である。欧州を舞台に、実に30年近く国際レベルで戦ってきた葛西選手は、欧州では「レジェンド」と称される存在だ。葛西選手の存在が、欧州での日本に対する尊敬を高めているのは間違いない。長嶋茂雄氏、王貞治氏は日本限定、松井秀喜氏でも日米限定の存在だ。葛西選手こそ、世界レベルで「レジェンド」となった初めての日本人アスリートと言っても過言ではない。メダルの色が銀でも、そんなことは関係ない。葛西選手こそ、「国民栄誉賞」に最もふさわしいアスリートである。
東京都知事選:
飯島氏なき「小泉劇場」不発
猪瀬直樹前知事の辞職に伴う東京都知事選挙は、舛添要一元厚労相が当選した。舛添氏は、自民・公明の連立与党や連合東京などの支援を受けるなど選挙戦を優位に展開し、脱原発を掲げた細川護煕元首相や宇都宮健児前日本弁護士連合会会長らを大差で破った。
細川氏は、小泉純一郎元首相の支援を得たことで大きな注目を集めた。だが、結果的にはダブルスコアで舛添氏に敗れてしまった。細川氏は、都内各所で行われた街頭演説では舛添氏を凌ぐ集客を誇っていた。応援の小泉氏が、激しい身ぶり手ぶりで演説するたびに、聴衆から歓声が沸いていた。だが、街頭での手応えは、集票にはつながらなかった。
かつて小泉氏の懐刀であった飯島勲首相補佐官によれば、細川・小泉コンビの陣営は、街頭演説の熱気を集票に結びつけるための戦略を欠いていたという(日本経済新聞 電子版『都知事選、立春の雪嵐にかすんだ「小泉劇場」』2014/2/10 7:00を参照のこと)。迫力満点の小泉氏は、覇気に欠ける細川氏をかき消してしまい、完全に主客転倒していた。