17日間に渡るソチ冬季五輪の戦いが幕を閉じた。
橋本聖子日本選手団長が掲げた「長野五輪のメダル10個超え」の目標は達成できなかったものの獲得メダル数は8個。これは海外での冬季五輪獲得メダル記録(1992年アルベールビル大会の7個)を抜いて最多である。今大会の日本選手はよくやったといっていいだろう。
五輪は「メダルだけではない」と
教えてくれたレジェンドたち
また、メダルが獲れたかどうかには関係なく感動を呼んだシーンも数多くあった。まずフィギュアスケート女子シングルの浅田真央。ショートプログラムでは精彩を欠いたが、翌日のフリースケーティングではほぼ完璧な演技を見せた。最後に納得のいく演技ができたことに万感の思いがこみ上げたのだろう。演技終了後に見せた涙をこらえる表情には心を揺さぶるものがあった。どんな苦境に陥っても自分を信じ、できることを精一杯することの尊さとメダルという結果を追い求めることだけが五輪ではないことを、浅田は身を持って示してくれた。その意味で浅田は今大会のレジェンドになったといっていいだろう。
同様のことはフリースタイルスキー・女子モーグルの上村愛子にもいえる。悲願のメダル獲得のため5度目の五輪挑戦となる今回、上村は会心の滑りを見せた。が、わずかの採点の差で今回もメダルに手が届かなかった。そのために費やした厳しい年月を考えれば、悔しくないわけはないはずなのに上村の表情には「やれることはやりきった」という満足感があった。おどけて泣き真似をする姿についもらい泣きしてしまったが、彼女も挑戦し続けることの尊さを教えてくれた。メダリストという記録こそ残らないが、いつまでも記憶に残る選手になったといえる。
個人でのメダル獲得という目標のため、41歳で7度目の五輪に挑んだ男子ジャンプ・葛西紀明の姿の感動を呼んだ。こちらはラージヒルで銀メダル、団体で銅メダルという結果が伴なったが、それとは別の価値、目標達成のために決してあきらめない気持ちの大事さを教えてくれた。
この他、メダルを獲った選手も手が届かなかった選手も誰もが精一杯のパフォーマンスを見せてくれた。日本のスポーツファンにとっては楽しみの多かった2週間だった。