最近、多くのメディアで「オープンデータ」という言葉が頻繁に取り上げられるようになりました。皆さんは、このキーワードをご存じでしょうか?

 オープンデータは文字通り「データ」を「オープン(公開)」するという考え方のことで、たとえば、行政団体が持っている地図情報や防災・減災情報、資材調達情報、統計情報などのデータを著作権や特許権などの問題をクリアにした上で(たとえ営利目的であったとしても)、誰でも自由に利用(再掲載)できるようにするというものです。

 この動きは、世界中で活発化しています。2013年6月に英国・北アイルランド、ロック・アーンで開催された主要8ヵ国(G8)首脳会議において、オープンデータの推進について話し合われ、具体的な取組内容やスケジュール等について記された「オープンデータ憲章」が採択されました。もちろん、日本も合意しています。

 同憲章の内容を見てみると「政府及び企業に対して人々が説明を求める能力強化」、つまり情報の透明性を図ることやデータへのアクセスを容易にすることが含まれています。これにより、様々な市民サービスの向上や新たなビジネスチャンス/イノベーションの創出が期待されているのです。

「オープンデータ」は
「オープンガバメント」につながる

 さて、オープンデータの取り組みにおいて、先行する米国の最新事情をみてみましょう。

「オープンガバメント」を政権公約に掲げたオバマ大統領は、就任後、政府主導で積極的にオープンデータへ取り組んできました。

 オープンガバメントとは、いわゆる「開かれた政府」を目指すもので、政治の透明性を確保し、政府への信頼性を高めるとともに、汚職の防止や国民による行政の監視、国民の政治への参加促進といったことを目的としています。オープンガバメントは、米国政府に限らず、世界的に取り組みが進められています。

 そしてオープンデータは、このオープンガバメントの流れの一環として動き出したものであり、「情報公開」という側面では、とても重要なコンセプトとして位置付けられています。

 その一例が、2009年2月に成立したアメリカ復興・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act of 2009)で、現在もさまざまなプロジェクトが進行中ですが、法案成立後、国民に対して予算が適正に執行されているかなどの状況を説明する義務が発生しており、米国政府はこの情報を「Recovery.gov」で公開しています。