スクールバス新型コロナに苦しむ米国のニューヨーク市は、公立学校の全校休校を決めた。日本が彼らの試行錯誤から学べることとは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ニューヨーク市を直撃したコロナ禍
公立学校の全校休校に日本が学べること

 世界中で新型コロナウイルスの感染が広がり、学校の休校、飲食店の営業制限、外出禁止などの措置が行われている。筆者は2020年の2月と3月にそれぞれ約14日ずつ、在学している大学院の研究費で米国西海岸と東海岸に滞在し、リアルタイムで成り行きを見る巡り合わせとなった。

 今回は、ニューヨーク市を中心に、公立学校の休校が開始されるまでの経緯を紹介する。そこには、日本の学ぶべき点が凝縮されている。

 3月15日、ニューヨーク市長は、3月16日から4月20日まで全公立学校を休校にすることを発表した。その3日前にあたる3月13日、トランプ大統領は「国家緊急事態宣言」を発したが、この宣言を受けて休校が決定されたわけではない。ニューヨーク市長が非常事態宣言を発したのは、さらに約1週間前にあたる3月7日であった。

 感染の拡大を食い止めるためには、学校の休校が望ましいけれども、「来週からいきなり」というわけにはいかない。学校には、給食を命綱にしている子どもたちがいる。

 ニューヨーク市の公立学校は通常、朝食・昼食・放課後の3食を提供している。朝食は、遅刻してきた子どもにも提供される。アレルギーや宗教的禁忌は、当然のこととして考慮される。学校が休校となると、子どもたちは文字通り「メシが食えない」ということになりかねない。