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オープンデータの実像

【新連載】
開かれた政府、イノベーションを創出する
オープンデータへの大きな期待

澤内真人 [日本オラクル 製品戦略事業統括本部 テクノロジービジネス推進本部 シニアマネジャー]
【第1回】 2014年3月4日
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イノベーションや経済の活性化も重要な目的

 情報公開に加えて、オバマ政権は、イノベーションや経済活性化といった点にも力点を置いています。2012年8月、今後取り組むべき5つのプロジェクトを発表し、各分野において官民連携のプロジェクトを開始しましたが、その中のイノベーション分野にはオープンデータイニシアティブ(Open Data Initiatives)が含まれており、オープンデータを活用したビジネスの創出に取り組んできました。

 例えば、

(1)国民が適切な医療機関を見つけられるアプリケーションやサービスを開発・提供する。
(2)エネルギーを節減しながら生活できるようなアプリケーションやサービスを開発・提供する。
(3)製品のリコール状況を確認でき家族の安全を守れるようなアプリケーションやサービスを開発・促進する。

など、「国民の社会生活が向上する」新たなビジネスを生み出すことを目指しています。そしてそれが、市場や経済を刺激することを期待しているのです。

米国行政区の対応は?

 広く国民に情報を提供するという観点に基づくと、オープンデータへの取り組みは、各行政区でも進んでおり、サンフランシスコ市やシカゴ市、フィラデルフィア市などが積極的に取り組んでいますが、ここでは特にニューヨーク市の事例を見てみましょう。

 ニューヨーク市では、市が保有する1100種類以上の情報(2013年末現在)をオープンデータ化し広く一般に公開しています。それにより、行政の透明化を図ると共に市民サービス改善やライフスタイルの質の向上、ひいては新規産業・雇用の創出を市として積極的に推進しているようです。特にニューヨーク市では、透明性と市民参加型によるオープンガバメント施策を推進されています。

(1)各部門の予算執行状況の見える化を推進
(2)公開可能な情報をオープンデータとして積極的に市民に広く開放
(3)市民参加型のアイデアコンテストを開催しそのアイデアから新規雇用のビジネス創出を推進

(1)各部門の予算執行状況の見える化を推進

 市の部門ごとに予算執行の状況を積極的に公開しています。従来は、年に1回の情報公開だったため、市民にとっては市政を監視しづらい状況でしたが、現在は、定期的に更新されるため、行政としてしっかり機能しているかどうかを、市民がインターネットを通じて確認することができるようなりました。明らかに行政の可視化が進んだと言えます。

 また、予算執行状況以外にも、行政のデータを公開することにより、様々なビジネスチャンスを醸成する機会を提供しようとしています。

ビジネスインテリジェンス製品を活用し、視覚的に情報収集できる仕組みがある。
出典:The City of New York Agency Performance Reporting
http://www.nyc.gov/html/ops/cpr/html/home/home.shtml
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澤内真人
[日本オラクル 製品戦略事業統括本部 テクノロジービジネス推進本部 シニアマネジャー]

国内システムインテグレータにて、ネットワークエンジニアとして大手通信キャリアのネットワーク設計・構築、また運用設計を支援。日本オラクル入社後は、データベースプロダクトマーケティング、「Oracle Exadata」の国内ローンチやビジネス開発を行い、2013年から公共・教育・医療分野においてテクノロジー製品に関するビジネス開発を担当。現在に至る。

オープンデータの実像

2013年6月にイギリスで行われたG8サミットで「オープンデータ憲章」が採択された。以来、世界中でオープンデータへの取り組みが活発化している。憲章に謳われた「政府及び企業に対して人々が説明を求める能力強化」、つまり情報の透明性の向上やデータへのアクセスを容易にすることによって、社会はどのように変わっていくだろうか。さらに、行政サービスの向上や新たなビジネスチャンス/イノベーションの創出への期待も高まる。グローバル先進事例を専門家が解説する。

「オープンデータの実像」

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