最近、自治体の間でビッグデータ・オープンデータを活用した様々な取り組みが加速しています。ビッグデータの多くは統計化される前の生データですが、オープンデータは、そのビッグデータを統計処理することによって、個人情報を削除し、計算機で処理しやすいように体裁を整えたデータです。著作権をクリアにし、すべての人が自由に利用できることを理想としています。
オープンデータへの取り組みや狙いを紹介する本連載では、前回、オープンデータ先進国ともいうべき米国・オバマ政権の取り組みやニューヨーク市の事例などを紹介しましたが、第2回は日本国内の先進事例として、千葉市の取り組みを紹介します。
千葉市では、ビッグデータ・オープンデータの活用を積極的に推進するために、市の単独事業として、市民協働型事業、情報応用ビジネス、課題抑制型事業の3つの方向性を提示しています。さらに、「ビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会」「九都県市首脳会議」など、他の自治体・団体と連携した取り組みも行っています。これらの取り組みについて、千葉市総務局次長(CIO補佐監)三木浩平氏に話を伺いました。
市民と市役所が積極的に関わる社会を目指す
多くの自治体では、膨大なデータを活用または一般に広く提供しきれておらず、役所内に眠っているケースが珍しくありません。千葉市が推進するビッグデータ・オープンデータ施策には、既に実施済みまたは検討中のものが複数ありますが、ここではその中から、いくつかの施策を紹介します。
まず「市民協働型事業」として、ちば市民協働レポート実証実験「ちばレポ(通称)」があります。これは、街の課題(道路破損や公園美化などの問題)に気づいた市民が、その場でスマートフォンなどを使って写真を投稿すると、インターネット上の地図に表示されるようになります。
市の関係部門はもちろん、他の市民にもその情報が公開される仕組みで、通知を受けた市役所では課題を担当部門に振り分け、対応に当たり、処理状況もインターネット上で公開されます。将来的には、課題によっては、市民にボランティアで解決にあたってもらうことも検討されています。こうした活動を通じて市民のコミュニティへの関心を高め、社会活動への参加を促進したい考えです。