「山西聯盛能源有限公司(山西福裕能源の親会社)はAAA級で優良、償還もまったく問題ない。リスクなしの高利回り商品だ」――。

 複数の投資家たちの証言をまとめると、次のようなものになる。すなわち、「銀行側がVIPルームに招き積極的に販売した。銀行が審査したので信用できる商品であり、かつ投資リスクはないと紹介された」というものだ。つまり、売り方そのものに問題があったともいえるのである。

 しかも、融資先の企業はもともと多くの問題を背負っており、信託会社も販売代理である銀行もそれを精査するどころか、承知の上で売ったのではないか、の疑いも強まる。

危機の象徴「吉林松花江77号」
融資先はすでに倒産していた

 今回、危機が報じられた「吉林松花江77号」は、山西福裕能源有限公司の資金調達のためであることは述べたが、同社の事例はまさしく中国の石炭業界の栄枯盛衰を物語る典型である。

 山西福裕能源の親会社は山西聯盛能源有限公司。同社は山西省最大の民営石炭企業だ。同社経営者は、2011年にはフォーブス誌の世界長者番付において、総資産44億8000億元(約550億円、2011年末のレート・1元=約12.3円で換算)で244位となった中国きっての大富豪でもある。2012年に行われた娘の婚礼には、7000万元(9.6億円、2012年末のレート・1元=約13.7円で換算)という信じられない額を投じて世間を驚かせた。

 2002年に設立した山西聯盛はもっぱら炭鉱の買収で肥大化し、さらにはセメント、電力、不動産、農業と経営範囲を拡大し、一大コングロマリットに成長した。すでに中国建設銀行、招商銀行などがここへの融資を行い、同時に上場した香港市場からの資金調達も行われていた。