この点は、他の調査で分かっていることと同じであった。ほとんどの方が、状況を理解し、それなりの「自制=自己コントロール」ができている。格別、「オレを敬え」などという人はまずいない。

 そうはいっても、多少、ホンネの言葉として、気になる点としては次のようなものがあった。

*自分の役割や目標については、やってほしいことや達成レベルをもっとはっきり言ってくれた方がいい。責任を軽減する配慮がかえって気になる。できないものはできないと言うから…そんなに遠慮しないで相談してくれたらいいのに。

*上司の仕事捌きや出来について、まだ未熟と感じる点や、こうした方が上手くいくのにと思っても、直接は言いにくい。曖昧な指示もそれ以上確認しづらい。会議の場でも言うべきかどうか言葉を選んだり躊躇ったりする。

*周囲の目はやはり気になる。一緒に仕事をやっているメンバーに、昔の上司風を吹かせていると思われないか、仕事で女子社員や若手に頼むことで迷惑になっていないか。

*部内の歓迎会や仕事の打ち上げの飲み会の席では、自分が仕切りの中心にならないよう気を遣う。

*どこかで自分を頼りにしてほしい。言いたいことや提案したいことも多い。普段の仕事中は上下関係を弁えた報告・連絡・相談でいいが、時々は仕事の先輩としてものを言える場づくりをしてほしい。少し、頼りにしてくれると嬉しいのだが…。

 初期カウンセリングの結果、相互理解の乏しい上司グループに対しては、改めて本人理解と対話ができる関係を作るため、上司-本人と外部カウンセラーが両者に働きかける2、3回の面談場を設け、本人の経歴・プロフィール理解や再雇用での働き方の意向などから対話を始めたら、やっとそこから今後の働き方など本論の話が進み出した。顔見知りでありながら、お互いの理解不足、立場やプライドが邪魔して、なかなかホンネの対話ができない。これもまた日常的に起きている現実なのだ。

 これらの点を見てくると、役定・再雇用シニアを上手く活かすというのは、単に役割付与と成果管理で済まされるものではなく、本人の経験・期待・希望を伺いながら、その活用限度も意識し、組織として効果的と思われる役割をお願いする。そしてその役割が組織内で上手く機能するように職場でのオモテの管理と、組織の知恵者として話を伺う、相談するなどのウラの管理が必要なことが見えてくる。シニア層を部下に持つ上司は、若手の育成とは違った、少し大人のキャリアマネジメント力を持つことが求められるのだろう。