朝、京浜東北線の若者の
行く先と行く末は……
最近電車で見かけた、6人4組の若者たちのお話です。まずは、新春の早朝、京浜東北線での若いサラリーマンのお話から。
私が乗ったのは、品川1つ手前の大井町駅から東京駅までの、6駅、15分間でした。早朝なので電車は空いており、少し離れたところに、若いサラリーマンが1人で座っていました。
目を閉じ、口を開け、手足の力は抜けて「熟睡」しています。乗り過ごさないか心配です。
そのうち彼のポケットからピーピー、音が鳴り始めました。スマートフォンでアラームをかけておいたのでしょう。さすが自分のことをわかっていて、彼はちゃんと乗り過ごさないように、手を打っていたわけです。
どんどん音は大きくなり、車内のみなが彼に注目しています。でも、彼は熟睡を続け、1分後、アラーム音は止まりました。残念……。
もう2駅進んだところでまた、アラーム音が鳴り始めました。おお、こっちが本命か! と思いましたが、彼は熟睡を続けます。アラームもじきに止まってしまいました。
さらに2駅進んだところで、私の降りる東京駅に着いてしまいました。「誰も起こさない」というのも可哀想だと思い、私は降り際に、彼に「もしもし」と声をかけ、頭を3回、ツンツンと、してあげました。
でも……反応はありません。「大物だ」と感心しながら、私はホームに降り立ちました。彼の行く先と、行く末が楽しみだなあ、と思いながら。