1月中旬にスタートした日テレ系ドラマ『明日、ママがいない』。放送開始直後から番組内容について賛否両論が噴出し、熊本県の慈恵病院、全国児童養護施設協議会、全国里親会などが抗議を行った。第3回の放送ではスポンサー8社が全て降板するという異例の事態となった。終わらない『明日ママ』への大ブーイングは、本当に妥当なのか。放送の是非は議論が分かれるところだが、そもそも私たちは児童養護施設で暮らす子どもたちの現実をよく知らない。ドラマがクライマックスにさしかかりつつある今、専門家の声も交えながら、改めて語られなかった「論点」について考察してみたい。(取材・文/小川たまか・プレスラボ)

終盤に入っても抗議が続く異常事態
「明日ママ」大ブーイングの背景

「施設長が、『上手く泣き真似できた者から食事していい』と言う演出はどうなのか」

「あんなに変態的な里親希望者が子どもと接触しないよう、関係者は細心の気遣いをしているのに」

「子どもたちが『ポスト』『ドンキ』なんてあだ名で呼び合うなんて、あり得ない」(注:あだ名の由来は「赤ちゃんポストに預けられたから『ポスト』」、「母親が恋人を鈍器で殴ったから『ドンキ』」など)

 1月中旬にスタートした日テレ系ドラマ『明日、ママがいない』(毎週水曜22:00~、出演:芦田愛菜、鈴木梨央ほか)。放送開始直後から番組内容について賛否両論が噴出し、熊本県の慈恵病院、全国児童養護施設協議会、全国里親会などが抗議を行った。第3回の放送ではスポンサー8社が全て降板するという異例の事態となった。2月28日には鹿児島市の男子高校生が日本テレビに放送中止と施設の子どもへの謝罪を求める約7000人分の署名を集めたことも報じられている。

 先日第8話まで放送が終了したこの『明日ママ』、視聴率自体は11.8%(7話までの平均)で同時間帯の他局ドラマよりも高く、世間の関心の高さがうかがえる。ストーリーがクライマックスに近づきつつある今でも、論争は続いている。