部下の仕事の質を見抜く眼力を
管理職は身に付けよ

 一方、面倒くさい個人を束ねる管理職は、前述したようなチームの目的や価値判断基準を明確化する能力とともに、相手のアウトプットの問題点や改善点を一発で見抜く「眼力」を持たなければなりません。相手に「この人は騙せない」と思われ、「この人と一緒に仕事をやると新しい知見が広がる」と思わせるだけの力を見せつけなければ舐められて しまい、言う事を聞いてもらえません。

 あるゲームクリエーターが、開発途中のゲームソフトを会社のCEOに見せる場面に立ち会ったことがあります。クリエーターが操作をしながらゲームを進めていたところ、経営トップは「よくできているね。そこで主人公がちらっと別の方向を見るところに、もの凄いリアリティがある」とか、「ここで別の画面に入るのは、人間性の原理に照らしておかしい」などと感想を述べました。

 あとでクリエーターから話を聞いたのですが、その「ちらっと別の方向を見る」ところこそもの凄いエネルギーをかけてつくり込んだ点であり、また、別画面をつくったのは「自分でもどうかな?」と思っていたそうです。彼は、そういう大事なことを見抜くCEOをとにかく尊敬していました。まさに「違いがわかる男」というべき存在であり、厳しい苦言も含めたアドバイスをもらうために、あえて開発途中のゲームを見てもらう時間をつくっていたそうです。

 こういう眼力のある人が自分の上についてくれると、変人たちは尋常ではない働きぶりを示します。自分の頑張りが“適切に”理解され、評価され、支援されるのですから。一方、仕事の質の評価ができず、売上と納期、コストのことしか頭にない上司だと、やる気はまったく上がりません。

「どうせ、上司の頭には数字しかないし、何を言っても理解できないし……」

 そんな風に思われてしまうのです。

 異質や一流だらけの社員を束ねることを前提に作られた欧米系エスタブリッシュメント企業が、経営幹部層の育成と選抜にかけているコストの大きさをご存知の方も多いと思います。その理由は管理者としての基礎能力に加えて専門領域での能力、さらには専門外の領域の世界観をも理解する能力をつけておかないと、異質や一流の人材を統合できないからです。