成人学習・職業発達理論で著名な研究者、ロバート・キーガン博士の発達理論に基づいた“大人の発達段階の測定技術”研究を進めている加藤洋平氏に出会ったのは、ちょうど拙著『「一体感」が会社を潰す~異質と一流を排除する<子ども病>の正体』を書いているときでした。
子どもだけではなく、大人にも発達段階がある。加藤氏との出会いからそれを学び、今回の著作ではその理論と技術を参考にして、組織と個人の関係に置き直して思考を進めてみました。現在、私は加藤氏とともに日本人にもフィットした「大人の発達心理学」を研究するゼミを続けています(一般参加可能です)。
個人が組織で発達するために必要な
「自立」と「自律」とは?
では、組織の中で個人がいかに発達していくかを見るにはどうすればよいか。拙著では「自立」と「自律」という2つの軸でマトリックスをつくり、それぞれの発達段階を重ね合わせて見ていく方法を取っています。
縦軸の「自立」とは、価値ある人材として認められるだけの技術やスキルを身につけていることを指します。その発達段階は右も左もわからない「丁稚」からスタートし、一通り仕事を覚えると「一人前」になり、さらにその領域で人から一目もニ目も置かれるような存在になると「一流」の段階に達します。