今週末、Jリーグ初の無観客試合が行われる。23日に埼玉スタジアムで行われるJ1リーグ第4節・浦和―清水戦だ。ご存じのとおり第2節の浦和―鳥栖戦においてレッズサポーターの一部が「JAPANESE ONLY」という人種差別的と受け止められても仕方のない横断幕をスタジアムに掲示。それをクラブ側も試合終了後まで撤去できなかったことに対するペナルティである。
当日、この横断幕を見た人はたくさんいたはずだが、問題視する人はとくにおらずクラブ側も即座に撤去しなかったのは、人種差別問題に慣れていない日本だからだろう。筆者の知人にも見た人はいたが、「外国人選手に頼るチームが多い中、今のレッズは日本人だけで戦っている。そのことを意味しているのかと思った」と語っていた。
横断幕は選手にサポーターの思いを伝えるものだ。多いのが選手の名前が書かれたもので「オレたちは〇〇選手を応援しているぞ」という表明である。メッセージ的なものもある。J1残留ギリギリのチームには「奇跡を起こせ!」といったものが掲げられる。その観点からいえば「(外国人に頼らず)日本人だけで戦っている」と受け取ることもできるが、やはり「JAPANESE ONLY」は異質だ。
人種差別問題に
鈍感な日本社会が背景か
一説によると、レッズサポーターの一部に当日、サブのFWに入っていた李忠成をよく思っていない人がいるという。李は在日韓国人で日本国籍を取得。U-23日本代表として北京五輪に出場したし、A代表では2011年のアジアカップの決勝(対オーストラリア)で決勝ゴールをあげ、優勝に貢献している日本でもファンの多い選手だ。が、レッズは他のクラブとは異なり、韓国人選手を積極的に獲ってこなかった(過去に2例ある)。加えて最近、日本の韓国の間で何かと軋轢があることから、今季、李がレッズに加入したことを快く思っていない人がいるらしいのだ。
しかし、これまでレッズでプレーした外国人は数多く、躍進に貢献した選手も多い。ブッフバルトやバイン(ともにドイツ)、ポンテ、エメルソン(ともにブラジル)などで、JAPANESE ONLYでは彼らに頼った歴史にも反してしまう。また、現監督はセルビア出身のペトロビッチ氏。彼もそんな横断幕を見たらいい気はしないだろう。