しかし、驚いたのはその運賃だ。なんと1130円。特急料金を別途とられたわけでもない。なぜ、こんなにも高いのか。

 実は、押上駅の先は複数の鉄道会社の相互乗り入れだった。京成高砂駅までが京成本線で、その先は北総鉄道。この北総鉄道の運賃が高く、23.8キロの京成高砂―千葉ニュータウン中央駅間だけで720円もとられる。

バブル崩壊以降8回も値上げ
全国でもワーストクラスの高運賃に

 北総鉄道は、千葉県などが1960年代に開発を始めた千葉ニュータウンと都心を結ぶ路線として、1979年に開通した。京成電鉄や千葉県、印西市、白井市など沿線自治体が出資して設立した鉄道会社で、現在、京成高砂駅から印旛日本医大駅までの32.3キロを運行している。

 しかし、バブル崩壊などの影響で千葉ニュータウン開発は大幅に縮小され、人口9万3000人にとどまっている。北総鉄道の利用者数は計画時の想定を大きく下回った。建設に伴う巨額の借入金の利払いも加わり、会社は赤字経営を続けた。

 このため、運賃値上げを8回も重ね、初乗りはとうとう最高290円にまでアップした。運賃は周辺の私鉄の2倍前後にまで跳ね上がり、通学定期にいたっては4倍以上となった。全国でもワーストクラスの高さである。

 公共交通で都心に出るには他に選択肢はなく、北総鉄道の高運賃はニュータウンの住民の家計を圧迫した。とりわけ、都心に通学する子どもを持つ家庭にとっては切実な問題となった。このため、運賃値下げを求める住民運動が活発に展開されるようになった。

 その結果、2010年度から千葉県と沿線6市が北総鉄道に毎年3億円の補助金を支出することになり、運賃は平均4.6%値下げされた。しかし、補助金支出や値下げ幅などに対し、納得いかないという住民が少なくなかった。そのため、沿線自治体の中には、市政が大混乱するところまで生まれた(連載第79回を参照)。また、国に対して北総鉄道への運賃認可の取り消しなどを求める住民訴訟も提起された。

 補助金支出による北総鉄道の運賃値下げは抜本的な解決策とは言い難く、その補助金支出も2014年度いっぱいで打ち切られる予定になっている。つまり、北総線の高運賃問題は地域住民を悩ます重大課題の1つであり続けているのである。果たして打つ手はないのだろうか。ここで話を、3月9日のシンポジウムに戻そう。