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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

クレジットカードに39%の金利をつける米銀の悪徳商法

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第22回】 2009年8月31日
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 過去のキャンペーン等による借入で金利が異なる複数の借入残高がある場合には、返済は金利の一番安い借入に充当される。この結果、法外な金利の借入は最後まで残る。また、前月に借入を一部返済したにも拘らず、前々月に遡って利息を再計算して再度支払を請求する「詐欺まがい」の慣行もあったという。要するに利用者は一旦借入を残したら、トコトン収奪されたのである。

 カード会社に未払い残高のある家計は全家計の44%にも達する。カード会社の悪徳商法は多くの消費者を苦しめた。この国では日々の支払をクレジットカードで行うのが日常化している。企業がコーポレートカードで支払をするのも普及している。もしカードが使えなくなったら国民の不便は極まりないものになる。

 クレジットカードに信頼を取り戻さなければならない。国会議員も積極的に動き、短期間にクレジットカード規正法(CARD法)を成立させた。だが、カード会社の抵抗は物凄かった。金利に上限を設定しようとしたが、業界の強い反対で見送られた。また実施時期は今年8月に一部実施し、全面実施は来年2月まで延期されることになった。規制されることになった主な項目は次の通りである。

(1)金利を引き上げることができるのは、新たな利用(または借入)分に限定され、既存借入残高には遡及しない。新金利の実施は利用者に通告してから45日後とする。

(2)限度超過罰金の廃止、支払遅延罰金を課す場合の用件の厳格化(後日調査される)。

(3)請求書の送付から支払期限までの期間を従来の14日から21日に延長する。

(4)異なる金利の複数のローンがある場合には、最も高い金利のローンから充当する。

(5)遡って利息を再計算して再請求する慣行の禁止。

 こんな事態が何故今まで許されたのか? 金融監督機能が機能していないからである。本来金融機関を監督すべき監督官庁の権限の所在が不明確で、どこも責任をとろうとしない。監督不在の間隙を縫って金融業界は「金儲け主義」一本で膨大な利益を享受した。

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安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

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シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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