経営用語としての「ビジネスモデル」
実はその定義は定まっていない
このちょっと野暮でものすごく曖昧(あいまい)なビジネス用語は、これまで数奇な運命を辿ってきました。無視されたり、ほめられたり、貶されたり、そして、尊敬されたり。
IESEのクリストフ・ゾット、ペンシルバニア大学のラファエル・アミットらの2010年の論文『ビジネスモデル』(*1)によれば、この便利な言葉にはまだ定まった定義がなく、使う側も4割弱はそんなことには拘らずに(つまり無定義のまま)使っています。また、他の言葉での言い換えも「set」「statement」「architecture」「description」「method」「structural template」「pattern」「framework」などと喧(かまびす)しいかぎり。
ビジネスモデルという用語は、『マネー・ボール』の著者で作家マイケル・ルイスが言うとおり、「いい加減な事業プランにもったいをつけるため」の言葉に過ぎないのでしょうか。「ビジネスモデル」とはいったい何者で、なんの役に立つのでしょうか。
ゾットたちはそのビジネス用語としての歴史を3期に分けて論じました。
1期は、はるか昔から1990年頃までです。
ビジネスモデルというコンセプトや言葉は存在していたものの、大して見向きもされず、ときどき使われるくらいの言葉でした。本当はそれによって多くのイノベーション(革新)が生まれていたというのに。
しかし2期、1991年頃から2001年まででいきなりの絶頂を迎えます。「ネットビジネスの説明」用として。
*1 "The Business Model : Theoretical Roots, Recent Developments, and Future Research"(2010)