春闘での賃上げ率
2014年度は2%を上回る可能性
今月12日、2014年労使交渉(いわゆる春闘)は集中回答日を迎え、自動車、電気、鉄鋼など主要企業の回答が一斉に公表された。報道などによれば、多くの企業においてベースアップ(ベア)の決定や年間一時金(ボーナス)の満額回答を含む労使合意がなされている。
春闘の最終的な結果は、7月末に厚生労働省から『民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況』として発表される。今回の集中回答日の結果を考慮すると、最終的な春闘賃上げ率は2013年の1.80%から上昇し、2%を超える可能性が高そうだ。仮に2%を超えれば、2001年(2.01%)以来13年ぶりの高い伸び率となる(図表1参照)。
大企業が決断したベースアップ
背景は過去最高となった経常利益
2012年11月に始まった円高修正とその後の景気回復は、企業の経常利益を過去最高水準に押し上げた(図表2参照)。ただし、そのような状況でさえ固定費の増加につながるベースアップは、企業にとっては重い決断であったと推察される。
春闘に関する報道において、多くの経営者からは「安倍政権からの賃上げ要請への対応」という声も聞かれた。財務的に体力のある大企業だからこそベースアップが可能であったことが、改めて実感されよう。だからこそ、ベースアップが継続的なものになるという手ごたえは今なお感じられない。
春闘における最終的な賃上げ率が2%を超えるということは、主要大企業において所定内給与が月額数千円程度増えることを意味する。これによって、相対的に所得水準が高い大企業の雇用者は、4月の消費税率引き上げ(5%→8%)による負担増を部分的にでも軽減できるであろう。