「ダヴィンチ1.0」(6万9800円・税込)。ABS製材料(フィラメント)は1本3280円で、当初6色を発売(最終的に12色を提供) Photo:DOL

 最大200mm×200mm×200mmの立体を造形できる3Dプリンターが、6万9800円(税込)で買える。これまで大手メーカーの家庭用モデルがおよそ16万円程度だったのに比べ、圧倒的な低価格を武器にした機種が登場した。

 作ったのは、台湾のEMS(製造受託)大手Kinpoエレクトロニクスのグループ企業である「XYZプリンティング」。同社の最初のモデルであり、世界戦略製品である「ダヴィンチ1.0」は、最少0.1mmの解像度など、他社のローエンドモデルと同等の性能を持ちながら、破壊的な低価格を打ち出した。

 販売ルートは、アマゾンや楽天など、基本的にネット直販の形をとるが、ビックカメラではオンラインのほか店頭販売も開始した。

 XYZプリンティングは、台湾で2013年7月に設立し、日本法人も11月にできたばかりの新しい会社だが、Kinpoはグループ全体で年商3兆円を誇り、中国、台湾を中心に10万人を超える従業員を抱える成長企業。電子機器部門では通常のプリンタを年間100万台程度製造しており、3Dプリンターへの進出も、その製造技術を生かしているという。

EMSで鍛えたサプライチェーンと
直販専用で実現した低価格

XYZプリンティングジャパンの吉井宏之ゼネラルマネージャー

 家庭向けの3Dプリンターは、この1年ほどで急速に低価格化が進み、なかには3万円程度で買える機種もあるようだ。しかし、XYZプリンティングの吉井宏之ゼネラルマネージャーは、「3万円台の機種は組み立てキット方式で、完成品ではない。ユーザーにとっての難易度が高いため当社の製品と比較はできない。我々はタイに電子機器向けの強力なサプライチェーンを持っており、そこで製造することによるコストメリットと、代理店販売を行わない直販専用とすることで、販売価格を低く抑えることができた」と、完成度の高さと低価格の両立に自信を見せる。

 ダヴィンチ1.0は、すでに国内でも2月からアマゾンと楽天のネットショップで先行発売していた。いまのところ、商品サンプルを作るデザイン会社のクリエーターなど、プロからの引き合いが中心だが、「この価格にしたおかげで、個人ユーザーが自宅で使いたいという問い合わせも増えている。日本語で電話やメールに応えるサポートデスクも開設して対応する」(マーケティングマネージャーのシェリー・リャン氏)