一方のイオンは「増税後もPBの半分以上で価格を維持する」という方針を打ち出し、価格訴求へと向かう。

 現在、イオングループでは「トップバリュ」全体で約6000品目。売上高は昨年度の実績の7000億円弱を上回ったものの、目標として掲げていた1兆円には届かなかった模様だ。

「価格は小売業として当然追求していくものだ。だがそれだけではなく、品質を向上させるなど価値の追求も行う。価格と価値は相反するものではない」と言うものの、現在のところ、価格を下げて消費マインドを刺激していく戦略が前面に出ている。労働者の賃金が上がっていない現状を考えると、非常に分かりやすい訴求の仕方であることは間違いない。

 価格訴求を前面に出す背景としては、「イオンはメインの顧客層を世帯年収400〜500万円としている。この層にとって3%分の増税は非常にインパクトが大きい。だからこそ『少しでも安くする』という戦略をとっている」と、ある証券アナリストは解説する。

 イオングループは4月以降はトップバリュ内で8つに分かれるているブランドを4つに再編、品目数も1.5倍に増やしていく方針だ。

消費者にはメリットが大きい
中堅以下の小売りは窮地に

 両グループのどちらが正しいのか。セブン&アイは前述した「金の食パン」のように確実に成功事例を積み重ねている一方で、『週刊ダイヤモンド』2014年3月15日第2特集「イオン 拡大経営の不安」で詳報しているように、イオンはPB売り上げ拡大を急ぐあまり、自主回収などのトラブルが頻発している。

 PBにはかつて、小売りが主体となって企画した「安かろう悪かろう」の商品群というイメージがつきまとっていた。イオンのように自主回収が繰り返されれば、せっかくこの数年で改善してきたイメージが悪化し、PB全体の地盤沈下を招く可能性もある。

 その意味では、愚直に価値向上を追求するセブン&アイの戦略が、王道であると言えそうだ。

 消費者にとってはどちらにしても、メリットを享受できそうだ。そして、両グループのような戦略がとれない中堅以下の小売り業は、いよいよ、手詰まりとなる。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)