ここのところ、どの取材先とお会いしても、こんなセリフが出て来ます。
「これだけ不景気なのだから当たり前か」
そんな思いで聞いている私ですが、こんなご時世でも、不思議と売り上げを伸ばしていたり、同業他社より上を行く成績をコンスタントに出す企業が存在します。
今週号は、そんな不思議な企業の営業マンにスポットライトを当て、売れない時代にも売れるノウハウを存分に教えていただきました。
「不思議」とは書いてみたものの、取材をしてしみじみ感じるのは、何も彼らはウルトラC的な奇手奇策を使っているわけではなく、極めて当たり前の基本を忠実に、そして愚直に継続しているという事実です。
何人もの凄腕営業マン、凄腕営業マネジャーが口を揃えて言うのは「すべきことをきちんとしていれば、必ず成果はついてくる」という事実に尽きます。
ムダを省いた簡潔かつわかりやすい営業トークが身に付いているか、顧客の心を掴む笑顔と人間味を持っているか、そして顧客情報をきちんと記録して分析しているか・・・・・・などなど。
「言うは易し、行なうは難し」と思われるかも知れませんが、具体的にどのように日常の業務に落とし込めばいいかというノウハウは、本誌にぎっしり詰め込んであるので、ご安心ください。
一握りの才能あふれる営業マンではなくとも、誰でも必ず成果を出せるノウハウを満載です。
過去10年以上、バブル崩壊の傷跡に苦しんだ日本企業は、欧米型の成果主義(?)、つまり年功序列・終身雇用をベースとした日本風マネジメントではなく、「人の能力をカネで評価し、モチベーションを高めようという」方針に大きく舵を切りました。
ところが、この成果主義には、デキない人を切り捨て、デキる人にはさらなるプレッシャーを与え続けて「燃え尽き症候群」を誘発するという、大きな欠点が見えてきました。
今、成果を上げている営業現場では、「2・6・2の法則」の6割の「普通の社員」をいかにデキる営業マンに変身させるかが、トレンドとなっているようです。コンサルタントの世界でも、そうしたノウハウの開発が進んでいます。
残酷なまでに数字で成果が見える営業の世界では、「自分はダメだ」と自信や勇気を失っている営業マンも多いはず。そんな方々にこそ、手に取っていただきたい特集です。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 津本朋子)