金融緩和によって銀行貸し出しも増加してきた。全国銀行協会の「預金・貸出金速報」によれば、全国銀行の貸出残高は金融緩和以降は月を追うごとに伸び率が拡大し、昨年11月末には前年同月比3.6%増と、4年半ぶりの高い伸びを記録した。

 ただこれらの動きは「デフレ脱却に向けた動き」ではあるものの、まだ「デフレ脱却」とは言えない。銀行貸し出しの伸び率は今年に入ってやや鈍っているし、消費者物価上昇率も黒田日銀が目標とする2%にはまだかなり距離があるのも事実だ。

 黒田総裁は就任から満1年を迎えた3月20日の講演で「2014年度の終わり頃から2015年度にかけて物価上昇率が2%に達する可能性が高い」と目標達成に自信を示した。しかし最近は、一部の審議委員が「将来的には2%という目標を再検討する余地もある」と語るなど、政策委員会内部の意見の相違も表面化している。

 こうした中で、4月の消費増税で景気の落ち込みが懸念されている。黒田日銀はこれからが真価を問われることになるだろう。

イエレン議長の意外な発言

 黒田日銀が正念場を迎えているタイミングに、米国ではFRB(米連邦準備理事会)新議長にイエレン氏が就任し、3月18~19日に議長として初めてのFOMC(連邦公開市場委員会)に臨んだ。いわば、イエレン議長のデビュー戦となったわけだが、市場との対話に少し失敗した感がある。

 この日の決定は、すでに着手している量的緩和縮小を従来通りのペースで進めるというもので、市場から買い入れる債券などの規模を月額100億ドル縮小して550億ドルにするという内容だった。

 これは市場の予想通りだったが、会合後の記者会見で意外な発言が飛び出した。FOMCの声明で、現在のゼロ金利は「債券購入終了後も相当の期間継続することが適切」としたことについて、記者から「相当な期間はどのくらいか」と聞かれて「おそらく6ヵ月程度」と答えてしまったのだ。