そこで私は、2つのことをしなければならないと考えている。1つは、自分が考えている不安は何か、どのようなものかということを、ちゃんと見える化したほうがいい。自分は一体、何に怯えているのかを明らかにする。もしかしたら何てことのない、ススキの穂に怯えているだけかもしれない。というよりも、実はそうした例が多いのだ。

 だから不安はちゃんと紙に書いてみることが必要だ。Mustの縮小という意味もある。Will、Can、MustのMustだ。しなければいけないことがたくさんあるから、新しいことができない。あれもこれもあるから、踏み出せない。そうしたMustも考えているだけでなく、しっかりと紙に書き出してみる。

 私もかつて、野村総研を辞めるときにやってみた。まっさきに行なったのは、年収がいくらいるかの計算だ。給料が下がることは間違いがないだろうから、どこまで生活というか、出費を切り詰められるのかを紙に書き出して計算してみた。その結果、意外と低い年収でも十分やっていけるということがわかり、安心して辞めることができた。

 金銭面だけでなく、不安を書き出してみる。特に若い人の中にはすぐにリスクを口にする人が多い。しかし、いざ書き出してみよとすると、それほど大したリスクはないということに気づくものだ。自分には失うものがたくさんあると思えるものだが、実はほとんどないということに気づく。

 Mustの多くは見栄や習慣であり、リスクの多くは幻想であり、不安の多くはススキの穂なのだ。それが書き出してみるとわかる。もちろん、それでも何がしかの不安は残る。今度はそれを、縮小する、コントロールする方法を検討する。

 それで飛び出す、挑戦してみようという準備ができる。

不満と不安を“見える化”して
問題を徹底的に“自分事化”せよ

 次に不満。自分が正直に思っている不満を書き出してみる。今度は思った以上にこれが多いことに気がつくものだ。これも嫌、あれも嫌、あいつも嫌い、こいつも嫌い……。自分が書き出してみたメモを見たときに、最初に思うことは「俺、よく我慢しているな」ということが多い。

 その不満は果たして自分の手で縮小できるのか? できるのであればいいが、そうでないとすると、その不満をこのまま10年、いや5年放っておいたら自分にどんな悪い影響が出るか。次に行うべきことが、そこに書き出した不満を不安に変換する作業だ。