パナソニックの復活は、津賀社長による大胆な組織改正、事業部の評価体系の変更(事業部ごとに、損益計算書だけでなく貸借対照表、キャッシュフロー表を持たせ、成果はキャッシュフローで評価)、BtoB事業への注力などの戦略転換であることは言うまでもない。そして、それを可能ならしめたのが、高値で売却できる資産の存在やこれまでの内部留保の厚みなど、同社財務の懐の深さである。ここがソニーやシャープと異なる点といえよう。

 同社のここからの課題は、まずは依然として残っている不採算事業の早期黒字化、もしくは撤退である。その次は、組織体系を現行の状態からさらに効率化することであろう。本社は持ち株会社化し、現在の4カンパニーがその下に属する形が自然に思われる。そして、その下の現在49ある事業部は、さらに整理統合を進める余地があろう。

「グローバル企業」へ脱皮が必要
海外経験が豊富な人材の確保が課題

 事業面におけるパナソニック全社共通の課題は、海外市場における事業拡大である。

 パナソニックの売上は依然、国内が約5割を占め、ソニーなどと比べ海外売上比率が非常に低い水準にとどまっている。アプライアンス(白物)やエコソリューションズ(照明やソーラーシステム、住設機器など)では新興国を中心に拡販を図っているが、現地企業や韓国企業との競争は熾烈である。

 AI&S(車載、産業、システム、部品など)においてはテスラ・モーターズとの提携を行う電池事業のように海外に活路を見出している部門もある一方、国内・もしくは日本企業向けの売上比率が高い事業も少なくない。

 海外における事業拡大においてカギとなるのは、工場進出やオペレーションの現地化、及び現地企業もしくは当該地域の事業に強みを持つ企業の買収や提携などである。これらの実現には、海外における事業運営を良く知る人材の登用、育成が不可欠となる。これまで国内向けの売上比率が高く、ある意味典型的な日本の電機メーカーである同社にとっては、簡単なことではない。

 また、テレビ事業の縮小などで最近は焦点が当たらなくなっているが、規模縮小はしつつもAV関連製品の事業は継続するうえ、白物家電は同社の安定収益源であり、成長事業でもある。これらの最終製品事業を着実に拡大させていくためには、同社を代表するような製品の創出とともに、全世界における「パナソニック」ブランド認知度向上のための投資、活動が、これまで以上に重要となる。

 そして、この点においても、海外市場や海外の競合他社を熟知した人材が多数必要となる。また、海外における工場進出やオペレーション現地化、企業買収、ブランディングなどには相当の投資が必要となり、これまでの緊縮路線からの転換が必須となる。

 中期経営計画最終年度の16年3月期までは、ネットキャッシュ化を目指したフリーキャッシュフロー重視の戦略である。しかし、中期経営計画目標(16年3月期営業利益3500億円以上、3年間のフリーキャッシュフロー6000億円以上)達成のあとは、営業キャッシュフローの継続的な増加を図りつつ、将来の収益創出のために必要な投資を果敢に実施する必要がある。同時に、一定のフリーキャッシュフローを創出し続けなければならない。ややリスク許容度を上げながらも、バランスのとれた財務運営が求められることになろう。