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各業界のITリーダーが語る
「ビッグデータ」と「顧客体験」の融合
米国ボストンで3月25日~26日に開催された、オラクルのビジネスイベント「インダストリー・コネクト」。2日目のセッションでは、多くの業界で共通するIT活用の課題と解決策がテーマとなった。
冒頭、オラクルで産業別アプリケーションを統括するボブ・ワイラー エグゼクティブ・バイスプレジデントは、「いま多くの経営者が、自分たちが属する業界の“外”にビジネスのチャンスを見つけようとしている」と語った。
「先日、保険会社のCEOにプレゼンをする機会があり、我々はこれまでの保険業界での実績と今後のロードマップを話そうと準備して出かけて行った。ところがその会議が始まると、CEOは『保険の話はいいから小売業の最新情報を教えてほしい』と言ってきた。そのため、多くの時間を小売業界の話に使うことになった」
ワイラー氏は、とくに多くの企業が注目しているのは「顧客体験(CX)」と「ビッグデータ」の絡み合いだと言う。
顧客体験を高めることが企業にとって重要になっていることは言うまでもないが、企業活動に伴うさまざまなデータを用いれば、自動化したプロセスと人の知恵を有効に組み合わせることでサービス向上が図れるはずだ。そして、知恵は他の業界からも広く集めたほうがいい。
2日目のメインステージで行われた「Xチェンジ・セッション(業界横断的パネルディスカッション)」では、ヘルスケア、電力・ガス、小売り、通信、金融など各業界のITリーダーたちが「顧客体験の向上」と「ビッグデータの活用」について、それぞれの取り組みと問題意識を語り合った。
ビッグデータの潜在力は
まだまだ引き出せていない
どの業界でも、ビッグデータの活用が急務と言われながら、成功事例はそれほど多くない。
進行役を務めたオラクルのソニー・サイ金融ビジネス担当シニア・バイス・プレジデントは、「オラクルがウォール・ストリート・ジャーナルを通じて300社の企業幹部に調査した結果、76%の企業がデータ活用が最重要課題と答えた一方、98%の企業では、データは自社の利益に生かし切れていないと解答している」と説明し、多くの企業でデータ活用が進んでいないと自覚していることを明らかにした。