関心は「イノベーション」から
「知識労働」へ
この「七つは、前半の四つと後半の三つ」に分けられます。
最初の四つは、企業や公的機関の組織の内部、あるいは産業や社会的部門の内部の事象である。したがって、内部にいる人たちにはよく見えるものである。(略)残りの三つの機会は、企業や産業の外部における事象である。(略)これら七つのイノベーションの機会は、截然と分かれているわけではなく互いに重複する。それはちょうど七つの窓に似ている。それぞれの窓から見える景色は隣り合う窓とあまり違わない。だが、(略)順番には意味がある。信頼性と確実性の大きい順に並べてある。(15-16ページ)
これらを発見し、イノベーションを遂行するのが企業家なのです。本書でドラッカーは「第七の機会 新しい知識の活用」と書いていますね。本書の8年後、1993年に出版した『ポスト資本主義社会』(上田惇生訳、ダイヤモンド社、2007)では、最も重要なのは「知識」だとしています。知識は企業の最も大事な生産資源であり、知識労働の生産性が重要だと展開します。そして、ポスト工業化社会は「知識社会」だと予言し、そのとおりになったのです。インターネットの急速な普及は1996年のことでした。
◇今回の書籍 50/100冊目
『イノベーションと企業家精神』
イノベーションと企業家精神を生み出すための原理と方法論を具体的に解説。組織に働く人たちが、イノベーションを実践するための、方針と意思決定、機会とリスク、組織と戦略、人の配置と報酬に関して、社会と企業の歴史的考察に基づいて体系化した、ドラッカーの代表作。
P.F.ドラッカー:著
上田淳生:訳
定価 2,000円+税
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