いま、個人が所有する不動産の売り方に変化が起こっている。この変化は、多くの業界関係者が変える必要があると思っていたもので、ようやく目に見える形で具体化してきたといったところだ。

 この変化がより進めば、「住み替えが簡単にできる社会」になるかもしれない。

中古不動産売買は
情報の非対称性がある

「所有する不動産を手放すなら、少しでも高く売りたい――」

 誰もがそう思うだろう。一方、その物件を購入する側に立ってみると、「少しでも安く買いたい」と思うに違いない。言うまでもないが、最終的に売る側と買う側の折り合いで価格は決まる。

「高く売りたい」と「安く買いたい」という、相反する思いが交錯するのが中古不動産売買の現場で、現在、その両者をつなげる役割を担っているのが、不動産流通業者(売買仲介業)だ。 

 中古不動産の需要が旺盛な(ニーズの多い=人気のある)エリアの不動産は、つねに高く売買され、逆の場合、不動産資産は年を追うごとに目減りしていき、安い価格で売買される。

 経済学では、需要曲線と供給曲線の交点が価格という事になるのだが、これは「情報の非対称性がない」ことが前提であり、これが担保されないとこうした効率性のある市場が形成されることはない。