パナマ運河より有利に

 それだけではない。一見、遠回りに見える、アジアから北米東岸向けの輸送にも、実はスエズ運河が活用されている。コンテナ船輸送では、太平洋とカリブ海をつなぐパナマ運河を経由する東回りであれば往復70日。一方、スエズ運河を通過する西回りは往復84日かかる。日数だけならパナマ経由のほうが早い。

 ところが近年、コンテナ船は大型化が進んでいる。

 スエズ運河は1万2000TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)の大きさの船まで通過できるのに対して、現在、パナマ運河は4800TEUの船が上限だ。距離は長くなっても、大型の船で輸送できるスエズ運河経由のほうが、コンテナ1個当たりの輸送コストが安くて済むのだ。

 このため、アジアから北米東岸へのコンテナ輸送でスエズ運河を経由する比率は、10年10月の約3割から、12年10月の約4割へと大きく伸びている。

 パナマ運河は、07年から大型船が通過できるよう拡張工事に取り組んでいる最中だ。

 だが、パナマ運河庁と建設業者が揉めており、15年末の完工、16年中の商業運航が遅れる可能性も高まってきた。加えて、値上げ問題はパナマ運河も同様。過去10年間でコンテナ船の通行料は3倍に跳ね上がっている。

 当分の間、スエズ運河が値上げしやすい状況は続きそうである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

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