海運各社が固唾をのんで待ち構えていたカルテル処分案が出された。巨額に上る課徴金もさることながら、申告したものとそうでないものの処分格差に業界は騒然となった。
正月明けの1月7日、海運関係者が集まる賀詞交換会が、東京・永田町で開催された。
業界3トップの日本郵船、商船三井、川崎汽船の社長ら首脳の顔触れがあったが、同じ業界の雄同士、親しげに談笑する姿は見られなかった。
2012年9月、公正取引委員会は、自動車を輸送する船便で運賃の事前調整を行ったカルテルの疑いがあるとして、海運各社に踏み込んだ。「以降は、飲み会など業界同士で集まる機会もなくなった。パーティなどの席で顔を合わせても言葉を交わすことも少なくなった」と、海運大手の関係者は解説する。
よそよそしい雰囲気の理由は、はたしてそれだけだったのか。
公取委の通知に
商船三井の名が見当たらず
2日後の1月9日、カルテルの処分案が明らかになった。課徴金の総額は220億円と過去2番目の規模。それ以上に業界を騒然とさせたのが、公取委から事前通知を受けたのが、日本郵船と川崎汽船のほか、スウェーデンとノルウェーに本社を置くワレニウス・ウィルヘルムセン・ロジスティクス、商船三井子会社の日産専用船の4社にとどまり、同じように立ち入り検査が入っていた商船三井の名前は見当たらなかったことだった。
それは、商船三井がリーニエンシー(課徴金減免制度)を適用していたことを意味する。
リーニエンシーでは、調査前に最初に自主申告すれば課徴金が100%免除される。