海運各社は、11月1日にコンテナ船運賃の値上げに踏み切ったが、足元ではすでに値下がりが始まっている
写真提供:日本郵船

 海運不況に明るさが見えてきた。今期は、日本郵船、商船三井、川崎汽船そろって、営業利益が増益、もしくは前期の赤字から黒字転換する見通しになるなど、海運大手3社の業績が好転しているのだ。

 原因は、最大のがんだったばら積み船(鉄鉱石などを輸送する船)市況の回復にある。ばら積み船で最大船型のケープサイズの1日当たりの用船料は、ここ2年間、損益分岐点とされる2万ドルを大きく下回り、2011年は1万5673ドル、12年に至っては7613ドルにまで落ち込んでいた。

 ところが今年8月から急回復し、一時は4万ドルに届く水準にまで回復したわけだから業績に反映されないはずがない。

「リーマンショック以降、過剰だった船腹スペースがようやく締まりつつある。来年はさらに荷物と船腹の需給ギャップが解消しそうだ」と海運大手幹部は安堵の表情を見せる。

 それでも破顔一笑といかないのには理由がある。海運会社の売上高の約半分を占めるコンテナ船(定期船)事業が苦戦したままだからだ。今期は、大手3社共にコンテナ船事業に限っていえば、赤字の見通しである。

 日本郵船によると、アジア~欧州の運賃指数(08年4~6月を100とした場合)は、昨年4~6月は86だったところが、今年4~6月は69にまで落ち込んだ。

 基本的な構造は、ばら積み船など他の船型と同じ。リーマンショック前までのバブルに乗って、海運各社が大量発注したため船腹が過剰になっている。