国内需要が全体の94%で21兆円
生産性が低く利益が出ない体質が問題

 1000万人を突破した海外からの観光客だが、日本の観光産業全体で「インバウンド」が占める割合はわずか6~7パーセントにしか過ぎない。日本国内の観光産業のボリュームは20兆円を超えており、この巨大なボリュームの中でインバウンドが占める割合は6パーセントほどだ。つまり、94パーセントは日本人が占めているわけで、インバウンドが倍になっても割合は10パーセント程度にしかならない。

 日本はこれから人口減少に入るため、海外からの観光客の増加よりも国内の人口減少の方が業界的には大きな問題になるかもしれない。観光産業における日本の強みは、21兆円近くに及ぶ国内需要が既に存在している点で、これは世界でも極めて珍しい例だ。

 日本の観光産業の問題点は、これだけの国内需要が既に存在しながら、産業としての生産性が低いことにある。つまり、利益が出ていないところが多いのだ。利益が出ていない場所にインバウンドが増えても、利益が出るわけではない。私はインバウンドを増やす前に、これだけ巨大な国内需要を抱えた日本の観光業界をきちんと生産性のあるものにするのが先ではないかと考えている。

――星野リゾートは3日、他の企業数社と共同でゴールデンウイークにおける休日の分散化を発表したが、日本で休日をブロック別に分けることによって、新たなビジネスチャンスは生まれるのか?

 大型連休の地域別取得は学校や官庁も地域別に休みを設けなければならないため、行政主導で進めてもらわなければならない。フランスで行われているような制度を日本にも導入すべきだと考えていて、自民党政権時に提言を行い、その後民主党政権時に議題にあがったが、東日本大震災が発生したため、話が一旦ストップしていた背景がある。

 先に述べたように、観光業の国内需要は21兆円にも及ぶが、そのほとんどが100日間に集中してしまっている問題が存在する。また、ゴールデンウイークがいい例だが、国内で旅行に行きたくても、泊まりたい場所に泊まれず、交通費の高さや混み具合もあって、結局旅行をあきらめてしまうという問題もある。潜在的な内需が顕在化していないのだ。

 休日の分散化によって、これまで業界全体で赤字傾向の強かった265日間を改善していけるのだ。生産性の向上によって、長期雇用で人を雇用する企業が増え、人材に対してもっとお金を出せる企業が増えてくると思う。言い方を変えれば、儲けられる日を増やすことによって、業界に健全な競争を持ち込めるのだ。