4月1日の消費税引き上げを機に便乗値上げをした小売店もあれば、税込み価格を引き上げなかった店もある。

 家電量販店ノジマの折り込み広告は笑えた。「プライスの貼り換え、間に合いませんでした。価格据え置き。約3%値下げ」。

 消費者庁の「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方」には、「消費税は転嫁しません」「税率上昇分値引きします」といったチラシに使ってはいけない禁止表示文例が載っている。しかし、「貼り換えが間に合わなかった」という文例はなかった。

 一方で、「円安による原材料コスト上昇にもう耐えられなくなってきたので、この際少々便乗値上げさせて欲しい」という企業が多数存在することも理解できる。4月以降の消費者物価指数は意外に強めに出る可能性がある。しかし、先行きも、日銀が目指すように毎年2%程度の値上げを続けられる企業が実際どれだけいるかというと難しい面がある。

 仮にインフレ率が日銀が想定するように2015年春に+2%になり、16年春も+2%で持続するとしよう。また、消費税は今回の3%引き上げに加え、15年秋にも2%上がるとする。消費税増税による物価押し上げ効果は今回は2%、来秋は1.4%と仮定しよう。その場合、16年春の物価水準は、3年前の13年春に比べ、なんと9%程度も上昇する。