経産省の産業政策への執着

 ところが、また経産省が余計なことを始めました。

  そもそも昨年の成長戦略の失敗の原因は、官邸で大きなプレゼンスを持つ経産省が、産業競争力強化法という中身も効果もない産業政策をその中心にすることに固執したからです。実際、この法律を評価する声などありません。

 報道によると、その経産省が、民間有識者を集めた“日本の「稼ぐ力」創出研究会”なるものを立ち上げ(今日4月25日に第1回を開催)、6月の成長戦略に向けて、企業の収益力を高める方策を取りまとめるとのことです。

  こういう民間人を集めた審議会や研究会は、所詮は役所がやりたい政策をオーソライズする隠れ蓑に過ぎないし、実際に委員のメンツを見ても族学者や族財界人ばかりです。産業競争力強化法の失敗に懲りずまた余計な産業政策を成長戦略の中核にしようと狙っているのでしょう。

  もちろん、役所的には、産業競争力強化法を主導した経済産業政策局長が昨年交代しているので、後任者が自分の独自の政策を打ち出したいというのもあるのでしょうが、政府に稼ぐ力を上げる方法を考えてもらわないと稼げないような企業は潰れるべきであり、余計な産業政策をまた成長戦略の中核に据えても外国人投資家からより一層そっぽを向かれるだけです。

国家戦略特区事務局の体たらく

  その一方、昨年の成長戦略の中で唯一海外でも評価されている政策である国家戦略特区の方は、動きが遅いと言わざるを得ません。

  そもそも、昨年の成長戦略が海外でまったく評価されていないことを認識している安倍首相は、1月末のダボス会議で「法人税を減税する」、「国家戦略特区のスキームを活用して、岩盤規制を2年で改革する」と宣言しました。いわばこの2つは国際公約になっているのです。

  ところが、内閣府に置かれている肝心の国家戦略特区の事務局は、第一弾の地域指定を行なっただけで、岩盤規制を2年間で改革する具体的なスケジュールさえ示していません。

  それどころか、地域指定された東京都が特区の対象地域や規制改革の中身の双方であまりにやる気がないにも拘らず、その是正さえもしっかりとやっていません。業を煮やした特区諮問会議の民間議員が、東京都への不満をHP上で文書で公開したくらいの状況です。