全ては憧れから始まった

 Superflyが産声を上げたのは、四国は松山の大学の音楽サークルの活動でした。越智志保と多保孝一との出会いです。2004年のことでした。バンド名は、米国のニュー・ソウルの旗手カーティス・メイフィールドが1972年に発表した代表作「Super Fly」(写真)にインスピレーションを受けて、Superflyとしました。この名前こそがソウル・ブルース魂をたっぷり吸収したロック黄金時代への憧憬を示しています。

 今週の音盤「Superfly」に“1969“という曲があります。1969年という時代への憧れを歌っていて、Superflyの音楽的志向を明確に示しています。

 実は、1969年はロックの歴史にとって最重要の出来事が起こっています。

 何といっても、愛と平和と音楽の祭典・ウッドストックが開催されました。ビートルズは実質的な最後のアルバム「アビイ・ロード」を録音して解散しました。入れ替わるように、レッド・ツェッペリンやキング・クリムゾンがデビューしました。クロスビー・スティルス&ナッシュも結成されました。疾風怒濤の60年代を象徴する映画「イージー・ライダー」の封切りもこの年で、ステッペン・ウルフが歌った主題歌「ワイルドでいこう」が大ヒットしました。

 21世紀になってデビューした新世代のロックバンドのメンバーが生まれる遥か前、1969年への憧れを直裁に歌うところに、Superflyの矜持があります。

 Superflyのロック黄金時代への憧れの断片は、アルバムの随所に発見できます。

 例えば、デビュー・シングルとなった“ハロー・ハロー”のイントロのギターには、オランダのプログレバンド、フォーカスのギター奏者ヤン・アッカーマンが弾く“シルビア”という曲のカッティングの面影があります。

 “バンクーバー”全編にわたって流れる生ギターは、アメリカの“名前のない馬”を彷彿させます。

 そもそも越智志保のファションスタイルは彼女が惚れぬいたというジャニス・ジョプリン的なラブ&ピースをイメージさせます。