校舎は遺すべきか、壊すべきか
子どもたちの意見表明に行政は?

「聞いてもらいたいことがたくさんあって……」と、発表ギリギリまで原稿を手直ししていた佐藤そのみさん Photo by Y.K.

 行政も反応を示している。7日には、宮城県の村井嘉浩知事が「石巻市から強い要望があれば、検討することは可能」と定例記者会見で回答。8日には石巻市の亀山紘市長も「震災遺構検討委員会では大川小は外してあり、別に考えていこうと思っている。まだ行方不明者の捜索が行われている段階で、ご遺族の方にとっても校舎を遺すか解体するかは難しい判断が必要となる。時間をかけて考えていくことが必要」と、同じく定例記者会見で記者の質問に答えた。

 市では、有識者らで構成する震災伝承検討委員会(委員長:平川新・東北大災害科学国際研究所所長)が、震災遺構や各種施策を検討している。同委員会は大川小について、事故検証が続いていたため、これまでは検討対象から外してきた。

 担当課である市の復興政策課は、「事故検証は終わったが、遺族間でも様々なご意見もあり、一部のご遺族が起こした裁判もある。まだ検討の段階でないと判断している」と話す。市としては成り行きを見守って行く方向だ。

 大川小の遺族会も意向確認を行っている。昨年9月に実施したアンケートでは、6割が「解体希望」で、その他は「保存・一部保存」「決めかねている・どちらともいえない」だったという。

「校舎を遺すかどうかについては、大人だけの問題でもないし、子どもだけの問題でもない。ただ、ようやく語り始めた大川の子どもたちの思いに耳を傾ける世の中であってほしいと思う。それが大人たちに伝われば」

 子どもの視点に立って活動を続けてきた佐藤さんは、そう呼びかける。

 意見表明会では、校舎を遺すために署名運動をするという案も出ていたが、具体的にどのような活動をしていくかは、意見を出し合い、情報交換をしながら、これから子どもたち自身で探っていく。

「意見表明会の後に、みんなで振り返りの会をやりました。『校舎を“遺してほしい”という意見はひとまず言えたが、“壊してほしい”という意見を持っている人もたくさんいる。次はそれに耳を傾けよう』と、みんなで話し合ったところです」(佐藤さん)

 同チームの勉強会は、「否定しない」「強制しない」「丁寧に向き合う」がモットー。意見表明会後、佐藤さんたちの元には好意的な反応が寄せられているそうだが、校舎保存への活動についても、子どもたちと共にこれらの3つのモットーを大事にしながら、当事者たちの様々な意見に耳を傾けていく方針だ。

(加藤順子)

大川小遺族が「明らかに人災」と提訴
 総額23億円の損害賠償請求

◆2月23日に行われた児童遺族7人の父親による記者会見
大川小検証委「最終報告書」に“見切り”
空白の50分を明らかにすべく一部遺族提訴検討へ

大川小学校関係者や地域の方、一般の皆さまからのお話をお聞きしたいと思っています。情報をお持ちの方は、下記までお寄せください。
teamikegami@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)
 


<お知らせ>
当連載の著者 池上正樹と加藤順子による新刊本『石巻市立大川小学校事故検証委員会を検証する』が、2014年3月11日、ポプラ社から発売されます。

当連載の内容に加えて、最新の動向や、一般的な学校事件・事故の検証委員会を巡る問題点も取り上げています。同検証委員会が、形作られる前の段階から、最終報告書の提出までを追ったルポ。