諮問会議資料でも、法人税のパラドックス(法人税のパラドックスについ得ては前回を参照)の理由として、課税ベースの拡大が挙げられているが、4月16日の諮問会議の民間議員資料では、生産性向上・イノベーションの創出のため、「税制措置の更なる活用」が挙げられている。租税特別措置の廃止や見直しは、経団連や恩恵を受けている企業が難色を示しており、ここで更に拡充すべきと主張している。法人税率を引き下げ、課税ベースも拡充せずに、高い経済成長と財政再建が実現できると考えているのであろうか。

政府、自民党税調の動き

 諮問会議に対して、財源確保を重視するのが政府税制調査会である。法人税改革に関して、法人税率の引き下げが必要であるとしつつも、企業活動や業種に対して中立で簡素な法人税にすること、課税ベースを拡大して広く薄い税にすること、単年度・法人税の枠内だけではなく税収中立(税収全体に増減をもたらさないことであり、減税分を他の増税で賄うこと)をはかることなどが指摘されている(第1回法人課税ディスカッショングループ「法人税改革の論点について」2014年3月12日)。

 また、3月12日の検討では、メンバーから、2020年のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化目標との整合性を確保する必要、経済成長と財政健全化の両立を達成する必要があり税収中立が大前提、税収中立については将来の不確かな税収の増加をあてにするのは危険、といった意見が出されている。財務省から出された検討の資料によれば、法人の課税ベースは、税収で換算すると、租特や欠損金の繰越控除などにより5.9兆円失われているという(国税庁の「平成24年度会社標本調査」に基づく)。この時の法人税額は10.4兆円なので、約36%(5.9÷(10.4+5.9))が失われている計算になる。

 日本では、税制改正の実質的な権限を持っているのは政府ではなく、自民党の税制調査会である。4月16日、安倍首相は、法人税改革の具体案をつくるように党税調にも指示を出したが、党税調からは、高めの成長率でも財政健全化目標の達成はあやうい、財源はどこにあるのか、と異論が相次いだという(「朝日新聞」4月18日)。党税調は5月に党の意見をまとめる予定であるが、税率引き下げにどう答えるかが問われている。租税特別措置(租特)の多くは、関係業界の要望を受けて、党税調が認めてきたものであり、党税調は租特を廃止し課税ベースを拡大することには後向きである。