安倍政権が4年ぶりとなる「骨太の方針」を決定した。経済財政の構造改革を正面から取り上げた骨太の内容かと思いきや、要は財政再建についてのこれまでの発言を繰り返しただけ。財政再建は約束したが、その中身はなく問題を選挙後へ先送り。だが、安倍政権は改革からは逃げることはできない。
骨太の方針(正確には、「経済財政運営と改革の基本方針)が、6月13日の経済財政諮問会議で決定され、翌14日に閣議決定された。4年振りの「骨太の方針」である。民主党政権時代には、経済財政諮問会議が開催されなかったが、自民党政権(自公連立)になり同会議は復活した。その最初の公式な文書である。小泉政権時代には、諮問会議が改革の司令塔として機能し、その改革のメニューを表したのが骨太の方針であった。
そもそも骨太の方針とは、2001年に誕生した小泉政権で最初につくられた政府文書である。小泉首相は、聖域なき構造改革を進めるための政策の骨格を経済財政諮問会議につくらせ、それを政府の方針として閣議決定した。安倍政権の今回の骨太の方針は、従来のそれと同様に、改革のメニューを表した文書となっているのだろうか。
1年も前の見通しをベースに議論
経済財政諮問会議は法律によって設置された機関であるにもかかわらず、その活動やアウトプットにおいて、残念ながら日本経済再生本部(その設置は閣議決定)によって設置された産業競争力会議に比べ見劣りする。
産業競争力会議は、本年1月からこの6月まで11回され、毎回膨大な資料が配布され、検討が行われてきた。一方、諮問会議は、第1回(1月9日)から第14回(6月6日)まで開かれており、回数としては産業競争力会議を上回っているが、問題はその中身である。特に、財政関係である。経済や産業政策は競争力会議で検討するとしても、財政政策は諮問会議でしか議論の場がないからである。
第2回(1月22日)で、民間議員から、諮問会議の今後の検討課題として、骨太の方針の策定に向けて、財政については、①主要歳出分野における重点化、②平成26年(2014)度予算に向けた基本的な考え方、③効率的・効果的な財政を実現するための仕組みの確立、④中長期の財政健全化に向けた基本的な考え方などが示された。