法人税減税を巡る政府内の検討が最終段階にさしかかっている。経済財政諮問会議、産業競争力会議、政府税調、党税調などで検討が進められ、その結論は6月に予定されている「骨太の方針」に反映される見込みである。経済成長の観点から法人税減税の必要性が訴えられているが、他方で、政府は財政再建を目指すとしており、どう調整するかが焦点となっている。
アベノミクスでは、実質成長率が今後、過去20年間平均の2倍となる前提であり、減税と財政再建については、法人税減税→高い経済成長→税収増→財政再建というバラ色のシナリオを描いている。果たして、我々はそれを信じてよいのだろうか。法人税減税と財政再建の二兎を追っているのは日本だけではなく、英国も同様である。しかしながら、その方法や内容については日英で大きな相違がある。本稿では、日英の比較も試みながら、法人税減税と財政再建のあり方について考える。前編では、法人税の現状や成長との関係に焦点を当てる。
日本の法人税は本当に高いか
日本の法人税負担はしばしば高いと言われているが、どの程度高いのか主要先進国における法人税を比較しよう(表1)。まず、財務省が公表している法人税率(一般に「実効税率」と呼ばれる)は、日本が35.64%で、主要国の中では、米国を除いて高い水準となっている。実効税率の比較は簡単であるが、法人の正確な負担を正確に表しているとは限らない。