このコンクリート構造物の上流に堰止められた土砂が堆積し、河床が1メートルほど不自然に高くなっている。これは、山形県が実施した河川縦断測量図からも読み取れるという。

 ダム建設に反対する住民グループは、この堰を撤去して堆積した土砂を取り除けば、河床が下がって「内水被害」が防げると主張している。もちろん、護岸改修や橋の架け替えなどの策も講じてのことだ。つまり、ダムによらない治水対策の道があるという。

県が内密にしていたコンクリート堰
実は河床を掘り起こされたくない?

 山形県はこれに対し、構造物は「堰」ではなく「床止め工」だと抗弁し、河床が高くなっている事実もないと一歩も譲らない。実は、山形県が「床止め工」として「堰」を設置したのには、こんな経緯があった。

 コンクリート構造物がいつ設置されたか、その年次は定かでない。県が設置した構造物でありながら、正式記録は残っていないという。地元の人の話などによると、もともとはそこに木で組んだ堰があったという。温泉旅館の経営者らが河岸にある源泉の湧出量を安定させる目的で、川の水位をせき上げるために設置したのである。その存在は、昭和初期の写真などで確認できるという。

 木枠組みの堰なので、大水が流れる度に堰も流された。このため、土砂を堆積させることもなかった。しかし、流されるたびに堰を造り直すのは、住民にとって負担でしかなかった。県に働きかけて、県が「床止め」と主張する「コンクリートの固定堰」を設置してもらったのである。

 こうした経緯は表に出ることはなく、つい最近まで関係者だけが知る「内密の話」となっていた。地域におけるタブーの一種となっていたと言っても、過言ではないだろう。それは県にとっても、同様だと推測される。

 山形県はなぜ、赤倉地区では河川整備ができないと強く言い続けるのか。赤倉地区の河床を掘ることは、過去の様々なことをほじくり返されることにつながると見ているのではないだろうか。ダムによらない治水を求めている住民グル―プは、「違法な堰を設置して、河床を高く保ってきた河川管理者(県)自らが洪水被害の危険を大きくしてきたのである」と主張している。

 ところで、ダムによらない治水を求めていた小国川漁協(高橋光明組合長)は、5月16日に理事会を開き、ダム容認の方針案を決定した。10名の理事による無記名投票の結果は、6対4だった。この方針案を6月8日の総代会に諮り、ダム建設への賛否を問うことになった。