世界的なブランドという自負を持つソニーが、ようやく外聞を捨て、「ありのままの姿」を語りだした決算発表だった。

業績の底打ちを見せる他社と違い、2期連続の〝孤独〞な赤字と向き合う吉田CFO
Photo by Naoyoshi Goto

「3回の下方修正を経て赤字になったこと、また今年度も最終赤字を見込んでいることを、ここにおわびします」

 14日午後4時半、ソニーは本社2階にある大ホールで、2013年度の通期決算を発表した。壇上に上がったのは、子会社のソネット社長から抜てきされ、今年4月に新しく最高財務責任者(CFO)に就任した吉田憲一郎氏だった。

 業績は厳しく、売上高は7兆7673億円、営業利益は265億円、そして最終損失が1284億円と大きな赤字に沈んだ。パナソニックとシャープが、共に3年ぶりの黒字転換を果たしたのとは対照的な不振ぶりだ。

 そのソニーといえば、「週刊ダイヤモンド 4月26日号」の特集でも取り上げた通り、延々と下方修正を繰り返す“持病”の持ち主だ。今期も含め過去6年間で1兆円近い赤字を計上してきたが、決算発表では毎回、外部要因が主因であるかのような説明に終始してきた。

 今回は、それが変わった。

「もうリーマンショックも、洪水も、円高もないのに、これ(赤字経営)は真摯に反省しないといけない」(吉田CFO)

 そう“持病”を断じると、14年度も500億円の最終赤字という業績予想を公表した。